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第9回研究室旅行

2015年11月23日

今年も11月15日 (日) 16日 (月) の1泊2日で滋賀県高取山に研究室旅行に行ってきました。卒業生から、6期生鈴木さん (BBQから)、7期生佐藤さん、14期生原田さんが参加してくれ、総勢19人でした。

M1が中心となって別の場所での開催が検討されたのですが、結局日曜日の午後に近くの体育館を予約できるBBQ&宿泊施設がなく、今年も高取山になりました。3時間ほど運動して高取山に行ってみると、バンガローの近くに屋根&照明付きのBBQ施設が建てられていて (写真右)、利用することができました。これなら、今まで持ち込んでいたコンロ、アミ、照明器具が不要となり、準備と後片付けがぐっと楽になりますので、今後もずっと高取山になりそうです。ただし、私は講義のスケジュール調整に失敗して初めての日帰りとなりました。運動・大食・痛飲の翌日の講義はきつかった。今年も残りわずかになりましたね。頑張りましょう。

9 lab trip1 9 lab trip2


EDEM1/2/3 トリプルノックアウト細胞の解析結果を JCB report にて発表

2015年11月22日

蜷川君の論文が昨年に続いて Journal of Cell Biology の report としてオンライン版に掲載されましたので、京都大学のホームページを通じてプレスリリースも行いました。

 シビアな構造異常糖タンパク質が出現すると手順を踏まずに強制分解
-酵母にはない高等動物特有の小胞体糖タンパク質分解システムの解明-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/151117_2.html
 
 
     下記のサイトにアクセスすれば誰でも読めます。
     http://hdl.handle.net/2433/201885
 
昨年、構造異常糖タンパク質を分解へと導くマンノーストリミングを触媒する酵素を同定し、EDEM2 が開始し EDEM3/1 が完結するという、従来のモデルを一新する結果を得ました (2014年9月3日のブログ)。今回は EDEM1/2/3 を同時に欠くトリプルノックアウト細胞を作製して解析したところ、タンパク質部分の構造の異常の度合いによって運命が分かれるという、これまで誰も気がつかなかったタンパク質品質管理機構をつまびらかにしました。小胞体ストレスセンサー ATF6 という機能性糖タンパク質でありながら半減期が2時間と短い不安定なタンパク質を小胞体関連分解の基質として用いることによって、新しい機構を探り当てたのです。
 
すなわち、ATF6 の場合、 EDEM1/2/3 トリプルノックアウト細胞ではマンノーストリミングが起こりませんので、安定化してほとんど分解されません。これに対し、多くの研究者が基質として使っている NHK というシビアに構造が異常となっているタンパク質の場合は、初めのうちはマンノーストリミングが起こらないため分解が遅れるのですが、しばらくすると EDEM1/2/3 トリプルノックアウト細胞でも急速に分解が始まるのです。
 
これまで、マンノーストリミングがタンパク質を分解するかどうかのタイマーになっていると考えられていたのですが(小胞体内でなかなか正しい構造を取れないでモタモタしていると、マンノースがトリミングされて分解に回される=タイマーモデル)、小胞体内にはタンパク質の構造異常の度合いをモニターしている者 (Protein X と呼んでいます) が存在し、モタモタしているシビアな構造異常タンパク質を糖鎖依存的分解経路から引き抜いて糖鎖非依存的(こちらの方がキャパシティも分解速度も早い)に渡し、強制的に分解するのです。
 
糖鎖非依存的分解経路は酵母には存在しません。ですから、進化の過程で、細胞にとって有害であるシビアな構造異常タンパク質をマンノーストリミングという手順を踏まずに強制分解する機能が獲得され、小胞体の恒常性を維持しやすくしたのでしょうね。
 
なお、NHK が EDEM1/2/3 トリプルノックアウト細胞でも分解されると 2011年6月の FASEB Summer Research Conference で発表したときは、ニワトリ DT40 細胞を用いてそれまでの哺乳類細胞を用いた解析結果とは全く違うことを主張しましたので、信じない人も多くいました (2011年6月29日ブログ)。4年間かかりましたが、我々の主張が正しかったことを証明でき、とても嬉しく思っています。蜷川君と岡田助教が諦めることなくよく頑張ってくれました。ヒトの細胞でも遺伝子破壊ができる TALEN 技術開発のお陰でもあります。
 

本研究は、京都大学大学院医学研究科・武田俊一研究室 (DT40)、広島大学大学院理学研究科・山本卓研究室 (TALEN 法) 、岡崎統合バイオサイエンスセンター・加藤晃一研究室 (糖鎖解析) との緊密な共同研究により達成されました!


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