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IUBMB & FEBS at Sevilla, Spain に出席
9月4日 (火) 〜9日 (日) にスペインのセビーリャで開かれた IUBMB & FEBS に行ってきました。
初めてのプレナリーレクチャー (16個のうちの一つ、平行プラグラムなし、ノーベル受賞者も5人講演、一番大きな会場がほぼ満員) に招待されるという栄誉を受けてのことです。ヨーロッパに行くときはこれまでルフトハンザを使っていたのですが、朝がとても早い上に、エコノミークラスの座席が狭く、パソコンを置くと体をねじらないと作業できないので、今回は最近よく宣伝が出ているエミレーツ航空を使ってみました。関空出発が夜中の12時前、自宅を1日(土)夜7時半にでて余裕で間に合うという、これまでと全く違うパターンとなりました。チケットは先方がとってくれたのですが、通路側という指定を忘れていて、オンライン予約でも通路側席が確保できなかったので、空港で通路側の席にしてくれないかと頼んだら、それは無理だけど非常口のそばならとれる(前が空いているので席を立ちやすい) と言われたのでそうしてもらって待っていたら、何とビジネスクラスに移ってくださいと言われるではないですか。ラッキーでした、運気上昇中かも。機内食でメインをビーフにしたら思ったほどのものではなかったのですが(それでもエコノミーに比べれば格段の違いがありますが)、遅い夕食後、座席をほぼフラットにして眠ることができ、朝食のために起こされるまで爆睡できました。でも、ワインを何回でも注いでくれるので調子にのって飲み過ぎたかもしれません・・・。
ドバイ空港での待ち時間が3時間以上あってきつかったのですが、空港内で電源を探し歩いてやっと見つけ、発表のスライド作りに励みました。ドバイからマドリッドまでの機内でもスライド作りに励み、2日 (日) 昼にやっとマドリッド空港到着。地下鉄で繁華街中心地のソル駅に行き、そこからホテルを探して歩いたのですが、見つかりません。遂には次の地下鉄駅オペラに着いてしまいました。おかしいと思い引き返し、警官に聞いたりしてやっと見つけることができました。インターネットで予約したときよりホテル名が省略されて表示されおり、本当はソル駅のすぐ近くにあったのです。昼で明るかったからよかったものの冷や汗ものでした。かくして自宅を出てから27時間かかってやっとマドリッドのホテルに着いたのでした (写真はマドリッドを象徴する広場プエルタ・デル・ソルの名物「熊とヤマモモの像」)。
学会は4日 (火) の夕方からですので、マドリッドで2日間の夏休み (本当は3日間とれますが) を楽しみました (これは後述)。4日 (火 )の正午に Renfe という高速鉄道にのり (時速250 km位出ますがほとんど揺れません、平原を走るので当たり前かもしれませんが)、2時間半かかって目的地のセビーリャに着きました (予定時刻より10分早く到着してびっくり、新幹線ではありえません!)。迎えの車の運転手に会え、ホテルに無事着きました。この鉄道代は普通車で80ユーロ強なのですが、40ユーロ強を追加で払って1等席にしてもらい (この変更にずいぶんと時間がかかりました、あちこちたらい回しにされながらという感じで、前日に変更を試みたのが正解でした、当日では間に合わなかったでしょう)、席に余裕のあるこの鉄道内でもさらにスライドに磨きをかけました。スペクタクルな景色を期待していたのですが、全くの平原を走るという感じでしたので、スライドに集中できました。
セビーリャに着いてまず驚いたことは温度差です。マドリッドの気温は20度前半の感じで、歩き回っても汗をかかず、朝夜など肌寒い感じがしたのですが、セビーリャの午後は気温が15度くらい上昇して、40度近いものでした。暑〜いと言っていたらホテルのエレベーターで会った外国人に湿気がないだけ日本よりましだと言われてしまいました。確かにそうでしょう。木陰に行けば心地よい感じがします、それにしても日差しが強い。まさに南ヨーロッパでした (写真はセビーリャを代表するカテドラル=スペイン最大の規模を誇る大聖堂)。
4日 (火) 夕方からオープニングセレモニー、2つのプレナリーレクチャーがありましたが、時間管理がなんとも緩い。1時間で終わるはずのオープニングセレモニーが2時間近くかかり (しかも誰もあせってません!)、ノーベル受賞者の Sir. Tim Hunt のプレナリーレクチャーが1時間遅れで始まるという有様。全体的にスピーカーが時間を守らないのは当たり前という感じだったので気は楽になりました (事前のメール連絡では、プレナリーレクチャーは45分以内となっていたのですが、皆1時間以上話してました・・・)。このレクチャーで仕入れたネタもスライドに入れて完成させ、頭の中で何回も何回もイメージングトレーニングを繰り替えして5日 (水) 午後5時からの発表に臨みましたので、発表は思った以上に順調にいき、途中時間的余裕があるなと思ってスローダウンできたほどでした。50分以位で発表を終えました。 今回はジョークを入れることはできませんでしたが、現状で最高の発表ができたと思います (写真は出席されていた裏出ご夫妻に撮って送っていただいた物です)。これを面白いと思ってくれるかどうかは聴衆者次第です。あとで何人もが nice talk と言ってくれました。ただし、次の発表者が Dr. Ada Yonath (リボソームの結晶構造解析で2009年にノーベル化学賞受賞) で、最後の共同研究者や家族への謝辞の際に彼女自身感極まって少し涙ぐむという結末に大喝采が送られたので、かすんでしまったかも知れません。でも。私自身、最善を尽くしました。プレナリーレクチャーを経験して吹っ切れた感があります。帰ったらまた論文書きに励みましょう。この後記述するように命の洗濯ができました。
この後はサイエンスから離れて、訪れたマドリッド (夏休みの2日間)、セビーリャ (空き時間利用)、コルドバ (半日のフリータイムを利用して訪れました) についてブログします。スペインは2回目で、前回はポルトガルへ行く途中にガウディの建築物が見たくてバルセロナに立ち寄りました。マドリッド方面は初めてです。経済危機の報道がなされていてどんな感じなんだろうかと危ぶみながら訪れたのですが、いずれも活気があり、こざっぱりしていて (通行人や観光客が多くて汚すのだけど、その後の清掃をきっちりやっている)、いい印象を持ちました。夜が明けるのは遅いけど、その分夜9時くらいまで明るいので、完全に夜型の街でした。3都市とも、心を開放するために思いっきり歩き回りました。マドリッドでは地下鉄がよく発達していて (最初切符を買うのにやり方がわからず戸惑いましたが、また路線の乗り換えにも戸惑いがちでしたが)、ほぼ5分おきに電車がくるし、きれいだし、怖いと思う経験は全くしませんでした。ちょっとビックリなのは、地下鉄の切符は目的地まで買うのですが、切符を通すのは入り口のみで、出るときは通さないので、不正乗車がいくらでもできそうな所です。こんなルーズなところが経済危機に影響しているのかもと思ってしまいました。清掃人が非常に多いというのも公務員的身分が多いことを表しているのでしょうか。ギリシャほどではないと思いますが、ちょっと気になりました (写真はマドリッドのスペイン広場に立つドン・キホーテとサンチョ・パンサ像)。
もう一つ気になったこと、それは飲食店の従業者の働きぶりです。南ヨーロッパではシエスタという昼休みがあって、ワインを飲みながらゆっくり昼食をとると聞いていて、実際、観光客か地元の人か私には区別がつきませんが、たくさんの人達が食事を楽しんでいるのですが、その間、従業員の人たちは実にきびきびと働いているではないですか。ガイドブック「地球の歩き方」に載っていた豚の丸焼きで有名な店でも、本に書いてあるような昼食と夕食の間のブレークはなく、ずっと働いていました。この格差が何に基づいているのか知っている人がいたら教えてください。彼らはそのように働かないと食っていけないのか。それともよく働いて金を稼ぐことが好きなのか。私にはスペイン人に人種が2つあるように感じられました。
3日 (月) は、比較的朝早くから行動したので、1日が本当に長く感じられました。2日間でガイドブックに載っている主だったところを回り、2日 (日) の昼はパエリア、夜は立ち飲みの店で生ハムをつまみに数杯、3日 (月) の昼は上述のように豚の丸焼きの一部、夜はちょっとお腹にもたれていたので、ホテル近くのバルでオイスター2個と数杯、と食事も楽しみました。コルドバでのたこの料理もおいしかったです。
マドリッドで2つの美術館を訪れることができました。ソフィア王妃美術館 (写真左) には、ピカソの有名な戦争批判の大作「ゲルニカ」があり、その大きさに圧倒されたのですが、最も印象に残ったのはダリの「窓際の少女」でした。あのダリも初期にはこんな作品を描いていたのですね。プラダ美術館 (写真右) にも4日 (火) 午前中に並んで入りましたが、たくさん陳列されている宗教的作品のなかで、「フランダースの犬」で有名なルーベンスの作品群や地元倉敷の大原美術館に所蔵されているエルゴレコの「受胎告知」の兄弟版を堪能し、さらにゴヤの「着衣のマハ」と「裸のマハ」に最も感銘を受けました。いい絵を見るのは本当に楽しいです。