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謹賀新年2021

2021年01月10日

明けましておめでとうございます。

新年早々、首都圏に緊急事態宣言が発令され、京阪神もかと、新型コロナウィルスが猛威を奮っていますが、私にとってはちょっと嬉しいニュースが舞い込んできました。

拙著ブルーバックス『細胞の中の分子生物学』に第11刷 1,000 部の重版がかかりました。これで累計 24,000 部です!


昨年の緊急事態宣言発令後は、夏までに開催予定のほとんどの学会が中止・延期となり、秋からの学会はオンライン開催に移行したために、出張は2回だけとなりました。オンライン講義の準備はとても大変でしたが、なんとか慣れ、オンライン試験も実施できました。例年4回行われる研究室内飲み会(新歓、院試激励、研究室旅行、忘年会) に替えてオンライン飲み会を2回行っただけでした。一方、教授室では1人きりですので密にならず、論文執筆に注力することができました。

宣言前ですが、糖タンパク質の小胞体分解において、第一段階の糖鎖刈り込みに関与すると報告したEDEM2 (2014年09月03日 のブログ参照) は、既報通り単独ではマンノシダーゼ活性を示さないのですが、TXNDC11 というチオレドキシン・タンパク質とジスルフィド結合により複合体を作ると M9 → M8B の刈り込みを実行することを証明することができました。インド人留学生の Ginto George 君と蜷川君がよく頑張ってくれて、長年の論争に終止符を打つことができました。この分野のエキスパート Ron Kopito は “Thank you for bringing this important paper to my attention and congratulations on solving this long-standing puzzle!” とコメントしてくれました。

これを受けて、依頼されて BBA-general subjects に Mechanisms of productive folding and endoplasmic reticulum-associated degradation of glycoproteins and non-glycoproteins という総説を執筆しました。蜷川君がよく調べてくれ、昨夏の猛暑にへばりながらも、引用文献総数 349 という大作、包括的な総説にまとめあげることができました。ゲラ刷り校正前の段階で読んでくれた Jeff Brodsky (ERAD の命名者) が "your BBA review--fabulous! It is rare that one gets to read an article (or is given the space) that so thoroughly outlines the work in our field. Thank you for doing such a great job on this review. I will make sure all my people read it!" というとても嬉しいコメントを送ってきてくれました。

秋には、遂に、抗精神病薬オランザピンが稀に引き起こす副作用ー糖尿病ーの発症機構を解明して論文発表と共にプレス発表することができました。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2020-12-02-0


山口県の臨床医である長嶺敬彦先生から解析依頼があったのが 2007年。途中 2013 年に1報出しましたが、蜷川君がよく頑張ってくれ、かなり手応えのある論文にすることができました。

調べるとこの論文が、私が小胞体ストレスの研究を開始してから記念すべき100報目でした!

今年もどしどし良い論文を出したいと思っています。


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