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母校での講演と倉敷青陵高校生のラボ訪問

2015年05月23日

私は岡山県立倉敷青陵高校の28期生です。今年2月の中頃に母校から「理科系志望サポート事業」の一環として生徒50人ほどが京大を訪問したい、講演や研究室見学をお願いしたいとの依頼が来ました。去年11月に母校の倉敷市立味野中学校では講演しましたが、青陵高校には行っていないし、限られた人数の生徒さんにだけ話をするのも好みではないので、まず5月11日(月)に全生徒(約1,000人)対象の講演を行って、5月23日(土)に研究室訪問を受けることにしました。

Seiryo1 5月11日の講演は午後の3コマ分で、45分x3+休憩10分x2を2つに分けて、75分+休憩10分+70分とし、大学の授業(90分)の先取り体験的なものにしようとました。全学共通科目としての「生命現象の生物物理学」を14コマ中2コマ担当していて、毎年、全くヘテロな集団(高校で全く生物を習わなかった者から生物で大学受験した者まで)相手に90分x2で、ワトソン・クリックのDNA2重らせんから始めて、最後は小胞体ストレス応答に到達するという構成で「タンパク質の品質を管理する細胞応答」と題する講義をしていて結構好評です。

Seiryo2 70分x2なのでこれのミニチュア版として「分子細胞生物学への誘い」と題した講演を行うことにしました。校長先生(3枚目の写真の後列左)にご紹介いただき、味野中での講演の時のように壇上に3年生の生徒さん3人に上がってもらい(3枚目の写真の前列)、質問しながら講義をしました。さすが青陵、その3人のレベルは高い。生物志望の男女は生物のことがよくわかっていましたし、物理志望の男子は何と講義の最後のところで説明したプリオンを完璧に説明できるではないですか。なんでも大学入試の過去問を解いていたら、プリオンのことが書かれていたので答えられたと言うことですが、英語で書かれている志望分野外の文章を読んで正しく理解できているなんてたいしたものです。

Seiryo3 興味を持って聞いてくれている生徒さんが多かったですが、やはり特に1年生には難しいだろうし(1年生の2学期に基礎生物を習うそうです)、寝てしまう生徒も出てきたので、10分の休憩中に構成を変えることにし、75分+10分が本来の講義「分子細胞生物学への誘い」で、残りは昨年の京大11月祭中に時計台で講演した「4年半で人生が変わった私の留学体験」に変えて、ラスカー賞受賞までの道のりを話し、10分残して講演を終わりました。

生徒会長(3枚目の写真の後列真ん中)さんからお礼の言葉をもらった後、嬉しいことに沢山の質問をしてくれました。スピーカーの方向性の問題があって非常に聞き取りにくかったのですが、最初の女生徒は「私にはやりたいこと、夢があります」から始めてくれましたし、剣道のことなどを絡めてお答えしたら、予定時間を過ぎてもまだまだ質問が出てきて、本当に頼もしい後輩達でした。何かを受け止めてくれたら嬉しい限りです。

ラスカー賞受賞以来地元は盛り上がっていて、山陽放送のインタビューを受けたので夕方のニュースに登場したでしょうし、翌日の山陽新聞、朝日新聞、読売新聞の記事になりました。

今日はラボ訪問の日。生徒46人と先生8人が高校を朝6時半にバスで出発し、10時半〜12時半には5班に分かれてキャンパスツアー(自ら立ち上げた会社組織に属しているセミプロ学生が学内の時計台、グラウンド、体育館、博物館などを案内して生協で昼食)、12時半から3時まで研究室訪問でした。私達5人も分担し、岡田助教は共焦点顕微鏡を使った培養細胞の観察、青陵OGの宮田さんはPCRとDNAシーケンサーの説明、石川助教はメダカシステムの説明、M2の寺野君(高校教員志望)は蛍光顕微鏡を用いて光るメダカの観察をしてもらいました。私は、遺伝子組換えでは滅菌が重要なこと(乾熱滅菌とオートクレーブの説明、ピンセットでピペットを取り出すこと)、純水を使うこと、遺伝子組換えはあわ粒の世界なのでピペットマンとエッペンドルフチューブを使うこと、電気をかけてDNA、RNA、タンパク質を大きさで分けてからいろんな解析をすること、組換えられた遺伝子が入った大腸菌は寒天の上でコロニー(集落)を作ること等を説明した後、教授室に入ってもらって、底部が大理石でできているのでずっしりと重いラスカー賞のトロフィーを持ってもらったり、質問に答えたりしました。5班の生徒さんに5カ所を25分ずつ回ってもらいましたので駆け足でしたが、皆さん、特に女生徒さん達はとても元気でした。楽しく、あっという間に時間が過ぎて3時半頃に倉敷に向けて出発されました。それぞれの目標に向かって歩んでください。

Seiryo4

今日、先生が講演の時の感想文を持って来てくれました。その67人にはしっかりとメッセージが届いていて、とても嬉しく思いました。


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