Nebel Forum 2016

2016年10月09日

2016年9月4日から6日までスウェーデンのストックホルム、カロリンスカ研究所で開催された
Nobel Forum "Unfolded proteins: from basic to bedside" に参加した蜷川研究員より

カロリンスカ研究所で行われた学会に参加してきたので報告させて頂きます。

今回の学会は、森先生が約1年前から招待されており、さらにその地がノーベル賞の選考を行うノーベル賞委員会を持つカロリンスカ研究所@スウェーデン ということで、自身は関係ないですが、なんとなくの緊張感も持って参加させて頂きました。初ヨーロッパということもあって、少しウキウキした気分もあります。総じていうとヨーロッパでの学会は、やはり良かったです。

フライトは、関西国際空港、フィンランドのヘルシンキ、スウェーデンのアーランダ空港という経路でした。いつも感じるのですが、空港には基本的な安全感もありますが、次のフライトにきちんと乗れるのかという緊張感もあります。心配をよそに、団体であったということもあって全く問題なく着きました。途中、森先生の lost baggage ということを除いては…一番、無くなってはならない方のbaggage がなくなり、森先生にとっても大切な学会なのに…という、なんとなくの不安が自分の中にはありましたが、森先生ご自身は、ネタにしつつ次どうするか切り替えていて、あまり気にされてないようでした。

Nobel Ninagawa 1 学会初日、スウェーデン2日目には時間があって、スウェーデンの観光も出来ました。最初に行ったのは「森の墓」というストックホルムの世界遺産です。森の中にお墓があるということでしたが、世界遺産ということで、行こうという話になっていました。ただこの「森の墓」という名前が非常に不吉です。お気づきかもしれませんが、森先生の墓 を少し連想させるからです。そんなこんなで渡航前から、この地に森先生を誘うべきか、もはや行くことすら不吉ではないのか、というちょっとした笑い話的な要素もありました。森先生にも声はかけましたが、他に時間を使いたいということで、森先生を除くメンバーで回ってきました。非常に天気が良く、緑も多くて、墓という重たいような要素を感じず、気持ちのよい場所でした。西洋のお墓だったので、日本人の私にとっては「The お墓」という感じではなかったのも良かったかもしれません。

Nobel Ninagawa 2 Nobel Ninagawa 3 Nobel Ninagawa 4

その後は、ガムラスタンと呼ばれている旧市街地に行きました。町並みが有名で、実際に非常にいい感じの場所でした。ノーベル博物館にも行くことが出来、ノーベル賞にまつわる歴史を感じることができました。その日のメインイベントは、City Hall におけるレセプションです。ノーベル賞記念晩餐会が行われる場所ということでした。といっても実際には晩餐会会場には入ってはいないです。格式ある建物で、ここで食事をとることはなかなか今後もなさそうです。

学会2日目からは、いよいよ本格的な講演でした。充実した朝食をとった後、町並みを感じつつ歩いて学会会場へ行きました。その学会のスタートは Peter Walter、森先生の戦友と呼べる大物です。そして学会3日目の最後のトリは、森先生でした。学会2、3日目の講演全体を通して、レベルの高い講演も多く勉強になりました。今までは UPR3経路の内どちらかというと IRE1-XBP1 経路や PERK 経路の方の重要性が示されてきていたけれども、今回は ATF6 経路の重要性をうまく示した話の方が多い印象です。ATF6 経路を単独同定した森研の仕事の重要性が高まってきていると感じました。

講演を通して、今回はどの話もほぼ理解できた気になり、それゆえ質問することも出来ましたし、そういう意味で自身の成長を感じることが出来ました。この分野に対しては background も幅広く深くあることも影響しているとは思います。また参加者がそれほど多くないこともあってか、それぞれの PI の方ともお話したり、質問する機会もわりと多く持てて、充実した時間を過ごすことができました。研究英語の方が、日常英語よりも分かるのかもと思う次第です。あとは良い仕事を行って世界に発信出来れば〜とは思います。

Nobel Ninagawa 5 今回、スウェーデンのストックホルム、ノーベル賞の地、ということで、どうしてもそれを意識せざるを得ませんでしたが、それに対する森先生への最終選考かどうか、終わった今でも未知感はあります。ただ、そういうラインにのっていることは、素晴らしいことと思いますし、自分のことではないですが、毎年10月の発表を、今までよりももう少し「誰になるかな。」という気持ちを持って迎えても良いかなという印象です。といっても自身がこれからやるべきことは変わらないので、短期、中期、長期目標に向かって、さらなるモチベーションをもって取り組んでいきたいと改めて感じております。

今回、学会に参加させて頂きありがとうございました。